キャリアとは

一般に経歴、経験、、発展
さらには関連した職務の連鎖等
と表現され、時間的持続性ないし
は継続性を持った概念。

キャリアを積んだ結果として
職業能力が蓄積されていく。

職業能力に対してキャリア
職業経験を通して、職業能力を
蓄積していく過程の概念であるともいえる。

 

〇キャリアの起源

中世ラテン語の「車道」、英語で競馬場や
競技場におけるコースやトラックを
意味するものであった。そこから人が
たどる行路やその足跡、経歴、遍歴など
も意味するようになり、このほか、特別な
訓練を要する職業や生涯の仕事、職業上の
出世や成功を表すようになった。
このように経歴、遍歴、生涯と結びつけて
キャリアという言葉が使われることが多く
なっており、人の一生における経歴一般は
頭にライフをつけて「人生キャリア」
(life career)と呼び、そのうち職業を
切り口として捉えた場合の人の
一生・経歴・履歴の特定部分を
「職業キャリア」
(professional/occupat ional/
vacational career)と呼んで
区別することがある

なお、遺伝子の保有者、伝染病の保菌者などを
指すキャリア(carrier)は運ぶ(carry)からの
派生語であり、違う語源の単語である

 

キャリア形成

キャリアの概念を前提として
個人が職業能力をつくりあげていくこと
すなわち
関連した職務経験の連鎖を通じて
職業能力を形成していくこと

 

なぜ、「キャリア,キャリア形成」が問題となるのか

労働者・個人をめぐる環境変化による要因

  • 経済のグローバル化に加え、
    顧客ニーズの急激な変化や
    商品サイクルの短縮化により
    企業間競争が激化し、大企業
    といえども、倒産のリスクを
    避けられず、誰しも突然、
    転身を迫られたり、行き場を
    失う事態も生じる可能性がある
  • 技術革新の急激な進展や
    経済社会のニーズの大きな変化
    により労働者が長年にわたって
    蓄積してきた職業能力を無に
    される事態も生じる
    (AIなどの出現による代替可能性)
  • 高齢化により、職業生涯は
    長期化する一方労働移動は
    ますます活発化する等、
    生涯において大きな変化に
    見舞われることを覚悟しなければ
    ならない
  • 顧客ニーズ、商品ニーズの
    高度化、高付加価値化や経済
    のサービス化により、
    職業能力についても専門性や
    問題発見・解決能力が
    重視されるとともにキャリア
    の個別化、多様化が
    求められるようになった
  • 学卒無業者、若年離職者、
    フリーター等が急増し
    職業意識の希薄化、
    能力蓄積機会の欠如が
    将来の経済社会の担い手の
    喪失をもたらしかねない
    事態となっている

構造的変化による要因

これまでの労働者の職業キャリアのあり方は
大企業を中心に長期の比較的安定した雇用が
保障される中で異動、配置転換、昇進、昇格
能力開発等職業生活のあり方も基本的に
企業まかせであり、労働者はピラミッド型
の組織内で、昇進、昇格していくことが
当然の目標とされた。

職業上必要な知識・技術は企業に入ってからの
教育訓練で修得することを前提に学卒者の
採用について、企業は潜在的能力や、性格
意欲を重視、偏差値や学歴、成績、勤怠度
によって採用を行ってきた

他方、学校教育も安定性の高い大企業への
採用を目標に成績、学校による切り分けが
なされ社会もこうした一律かつ集団的な
教育・就職システムや企業内システムを
当然のものとしてきた。

しかしながら、最近の労働者、個人をめぐる
環境変化は、こうした教育・労働を通じて支配
してきたシステムを根底から揺るがしつつある。

ある意味では、現在は過度に集団的な
システムから個人に配慮する新たな
システムへの構築へ向けての
転換期に当たっているとも考えられる。

要するに、従来からの
年功序列、学歴偏重主義、終身雇用など
戦後成長期の護送船団方式が技術革新など
によって通用しなくなってきたということ。

格差が広がる一方で、個人の自由が尊重され
物が満たされて、情報が溢れかえり、
個人情報をどう守るか、倫理基準はどう
抑制すればよいかなど、問題は多い。

転換期がどの程度の期間続くかは、
分からないが、その間に、個々が転換後の
システムに適応できる体制を自ら取らなければ
格差に対するリスクは果てしなく増大するだろう。

若年層のキャリア

若年者にとってのキャリアは
未来型のキャリアであり、自らの職業の適性
潜在能力、希望・動機を確認し、職業との
すり合わせを行って職業を選択するのが
本来の姿であろう。特に、学生の場合、
社会人となるために必要なマナーや規律と
基礎的な学力を身に付けるほか自分の
適性を考えることや職業を知り、職業意識
を涵養することが、まず、肝要である。

しかしながら、現在の教育・就職システムや
企業の受け入れ体制は、未だ、こうした
キャリアを意識した取り組みに欠けている。
加えて、極めて厳しい学校市場の状況、企業
の求める人材要件の高度化、経済社会の
複雑化および地域や家庭の教育機能の低下
は、若年層のキャリアの準備・形成に深刻
な影響を及ぼしている。
他方、産業構造や企業のあり方が大きく変容
する中で、若年者のキャリアについても、
これまでのように企業に就職し、企業内で
キャリアを積むだけでなく、企業やSOHO
等の新たなキャリア展開の可能性の芽も
出てきている

壮年期層のキャリア

労働者が自分のキャリアやキャリア形成を
意識するのは、就職、退職、転職、転社等
の職業生活の節目であり、こうした節目に
おいては、自らの決断による選択がなされる。
逆に、こうした節目以外の機会においては
配転等も含め、これまで個人が主体的に
自分のキャリアを考えるこては、あまり
なかった。しかしながら、職業生活が
長期化する一方、絶えざる技術革新の進展
への対応や労働移動が頻繁になる等職業生活
の見通しが益々つかなくなる中で、
職業生活の節目だけでなく、そもそも自分
の職業キャリアのあり方を自分なりに考える
必要性は高まってきており、これを全くの
企業まかせにすることは、もはやリスクが
高すぎて容易に受け入れられないものと
なっている。また、企業側においても
組織のフラット化やキャリアルートの
複線化などの動きが進んでおり、能力開発
や福利厚生における個人の選択の重視や
成果主義、能力主義の導入などとあいまって
キャリアの個別化の傾向が強まっている。
このように、労働者のキャリアの個別化や
キャリアについての労働者の主体性重視
の動きが強まっている一方で、これまで
労使とも企業内の一律かつ集団的な処遇に
なじんだきたため、個別的キャリア形成
や労働者の主体性を尊重する考え方や
システムが動きについてきてない状況にある

中高年層のキャリア

中高年層から高齢層になるにつれ、
職業キャリアの蓄積によって形成された
能力(知識・技術、判断力、洞察力、
人的ネットワーク等)を生かした
働き方をすることや、蓄積を後代に
引き継いでいくことが重要になる。
また、個人のキャリアという点から
中高年齢期の働き方は、個人の健康、
意欲、生活環境等に応じ、年齢や
雇用形態にかかわらず、多様な働き方
が柔軟に選択できるようにすること
理想である

 

 

 

 

 

厚生労働省「キャリア形成を支援する
労働市場政策研究会」報告書より

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